替刃を買いにいらしたお客様が、売り場でしばらく迷われることがあります。幅の違うもの、パッケージに「黒刃」「ステンレス」と書かれたものが並んでいて、たしかに見分けがつきにくいところです。
カッターの刃は、幅・厚み・研ぎ方・材質の4つで切れ方と持ちが変わります。どれが優れているという話ではなく、切るものに合っているかどうかで決まります。
本体そのものの選び方はカッターの選び方に、本体の型ごとの違いはカッターの種類と特徴にまとめています。ここでは刃の側だけを、幅・厚み・研ぎ方・材質の順に見ていきます。
ふだん切るものがはっきりしている方は、そこから幅を決めるのが近道です。紙やシールなど細かな作業が中心なら9mm幅、段ボールなど比較的厚いものを切ることが多いなら18mm幅が候補になります。幅が決まれば、選べる刃はぐっと絞られます。
| 違い | 主な種類 | 特徴 |
|---|---|---|
| 幅 | 9mm・18mmなど | 切りやすい素材・作業の範囲が変わる |
| 厚み | 薄刃・厚刃 | 扱いやすさ・たわみにくさが変わる |
| 研ぎ方 | 通常刃・黒刃など | 切れ味や仕上がりが変わる |
| 材質 | 通常刃・ステンレス刃など | 切れ味・耐久性・錆びにくさが変わる |
刃の幅(9mm・18mm)で変わること
刃の幅は、本体を選んだ時点で決まります。9mm幅の本体に18mmの刃は入りません。逆も同じです。替刃を買い足すときに間違いが起きやすいのがここで、幅だけは必ず手元の本体に合わせてください。
なお、幅は本体の種類そのものとも結びついています。そちらはカッターの種類と特徴でくわしく扱っています。
家庭やDIYでよく使われるのは、9mm幅と18mm幅の2つです。この2つは切れるものの範囲が違うので、同じ作業でも手ごたえがずいぶん変わります。
封筒、紙、シール、薄い樹脂など。細い線を追いやすく、細かな切り抜きに向きます。
段ボール、養生材、厚紙など。刃幅が広く、細い刃に比べてたわみにくいのが特徴です。
中間の幅や、より大きな幅のものもあります。店頭では、切るものを伺ってからご案内しています。
家庭でのあらゆる作業に使うための「最初の1本」を選ぶなら、安定して使いやすい18mm幅のカッターがおすすめです。ただし、紙や細かな切り抜きが中心なら9mm幅のほうが扱いやすい場合があります。ふだん何を切るかで答えが変わるところですので、お聞かせいただければ一緒に絞ります。
次は、その幅とセットで決まる厚みの話です。
刃の厚みで変わること
刃の幅と厚みは、おおむね比例しています。幅の狭い刃は薄く、幅の広い刃は厚くなりますので、幅を決めた時点で厚みもおおよそ決まります。選び分けが要るのは、同じ18mm幅で薄い刃と厚い刃が並んでいるようなときだけです。
そういうときは、パッケージの刃厚の表示をご確認ください。厚みの数値はメーカーや品番によって違いますので、いま使っている刃に合わせたいときは、表示を控えてきていただくと話が早く進みます。厚みが違うと、切っているときの手ごたえも変わります。
段ボールのように厚みがあって繊維が引っかかりやすいものは、たわみにくい厚い刃のほうが線を保ちやすくなります。逆に、薄い紙や細かな切り抜きでは、薄い刃のほうが軽く入って動かしやすくなります。
幅と厚みが決まれば、残るのは刃そのものの性格です。次は研ぎ方と材質の話です。
研ぎ方の違い(通常刃・黒刃)
売り場で色が違って見えるのは、研ぎ方や材質が違うためです。日常の作業でまず関わってくるのは研ぎ方のほうで、店頭では通常の刃と黒刃の2つでご案内しています。刃先の角度そのものを選び分けていただく場面は、ふだんの作業ではほとんどありません。
日常的な作業に使う、標準の研ぎのタイプです。ふだん使いはここが基本になります。
メーカーによっては一般的な替刃より鋭角に研磨するなど、切れ味を重視して作られたタイプです。
黒刃は、壁紙やクロスのように切断面をきれいに仕上げたい作業で使われます。当店では、鋭い切れ味を活かす一方、切れ味が落ちてきたら早めに刃先を交換する使い方をご案内しています。折って新しい刃先に替える回数は、通常の刃より増える場合があります。
材質の違い(ステンレス刃など)
材質でも刃は分かれます。とはいえ、ほとんどの方は通常の刃で足ります。ふだん使いに選ばれるのも通常の刃で、そのほかにステンレス刃があります。
一般的な材質の刃。切れ味と持ちのつり合いが取れています。
錆びに強い材質の刃。水分や湿気に触れる可能性がある場所で使う場合や、替刃を長期間保管するときに向いています。
店頭でステンレス刃をお選びになる方は、ほとんどいらっしゃいません。一般的には通常刃が中心ですが、錆びにくさを優先したい場合にはステンレス刃が候補になります。
切るものに合わせた刃の選び方
ここまでの軸を、実際の作業に当てはめます。店頭では「何を切りますか」「どれくらいの量ですか」を伺い、お手元の本体や困っていることも聞きながら、おおよその最適なカッターを決めています。切るものが1種類だけなら、答えはだいたいその場で出ます。
迷うのは、切るものが複数あるときです。店頭でご案内している組み合わせを並べます。
18mm幅を主にして、細かい作業のときだけ9mm幅を出します。
黒刃です。壁紙やクロスなど、仕上がりが見えるところで選ばれます。
こちらも黒刃です。切れ味を重視する刃なので、刃先の状態をこまめに見ながら使います。
刃を使う本数も多くなるので、作業前に替刃を十分用意しておきます。途中で足りなくなるのがいちばん困ります。
1本で兼ねることもできますが、細かい切り抜きと厚いものを切る作業が両方あるなら、本体も幅ごとに持っておくと持ち替えるだけで済みます。
替刃でよくある困りごと
替刃まわりでつまずきやすいところを、次の4つにまとめました。前の2つは買うときのつまずき、後の2つは使っているあいだのつまずきです。心当たりのあるものから、次に替刃を買うときに1つだけ気をつけていただければ大丈夫です。
本体と替刃の幅を確かめずに買ってしまい、本体に替刃が合わず、取り付けられない。
本体と替刃のメーカーを揃えなかったため、刃をスムーズに送れなくなった。
切れ味が落ちた刃を、そのまま使い続けてしまう。
折った刃の置き場を決めていない。
1つ目と2つ目は、同じところでつまずきます。替刃は本体ごとに決まっているのに、売り場には似た形の刃が並んでいるため、幅さえ合っていれば入ると思われがちです。まとめ買いのときほど起きやすく、しかも家に帰ってから気づくので、使わないまま引き出しに残ります。安く買えたはずが、結局もう一度買い直すことになります。
店頭でよく伺うご相談です。メーカーが違うと必ず使えないというわけではありません。ただ、幅が同じでも厚みや折り筋の位置がわずかに違うため、刃が送れなくなったり、切っている途中でブレたりする可能性が高くなります。
防ぐには、カッターの選び方でもご案内しているとおり、いま使っている本体のメーカー名や型番、刃の幅が分かるものをお持ちください。替刃のパッケージがあれば、それがいちばん確かです。本体をお持ちになる場合は、ケースに入れてお越しください。
3つ目は、替えどきの見きわめです。切れ味が落ちたと感じた時点が、その合図だとお考えください。切れない刃を押し込むように使うと、手に力が入って線がずれ、材料のほうを傷めてしまいます。刃はまだ残っているのに切れないときは、使っている刃先が摩耗している可能性があります。
4つ目の折った刃は、専用のケースを置き場に決めておくと探さずに済みます。刃物の出し方は自治体によって違いますので、お住まいの地域の区分をご確認ください。刃の折り方やしまい方は、別記事「カッター刃の交換・折り方・捨て方」でくわしくご紹介します。
刃の種類と選び方のまとめ
ここまでは刃の側から、幅・厚み・研ぎ方・材質の4つを見てきました。売り場では見る角度が変わり、次の4つで伺っています。親記事「カッターの選び方」も、この4つで組んであります。
何を切るのかで、幅と、通常の刃か黒刃かの方向が決まります。
扱いやすい幅が変わります。ここまでに見た9mm幅と18mm幅の使い分けです。
量が多いほど刃の減りが早くなります。替刃の本数も一緒に考えます。
本体と刃の幅を合わせること。メーカーを本体と刃で合わせることをおすすめしています。
替刃を買い足すときの見分け方は、別記事「カッター替刃の選び方」でくわしくご紹介しています。刃を出す長さや定規の当て方といった切り方そのものは、別記事「カッターの正しい切り方」で扱う予定です。用途から本体を選び直したい方は、用途別のおすすめカッターもあわせてご覧ください。
お問い合わせ
いま使っている本体の型が分からない、切りたいものに合う刃が判断できない、というときは、替刃のパッケージか、本体のメーカー名と型番が分かるものをお持ちください。売り場で一緒に確かめられます。用途に合う道具や金物が分からないときは、お気軽にご相談ください。
