「カッター売り場に種類が多すぎて、どれを選べばいいか分からない」という声を店頭でよく伺います。カッターは形ごとに向いている作業がはっきり分かれていて、大きくは「一般的なタイプ」と「用途別のタイプ」の2つに整理できます。DIYや家庭の補修で使う方に向けて、種類ごとの特徴と選び分けを順にご案内します。
カッターの種類は「一般的なタイプ」と「用途別のタイプ」に分かれる
売り場には数十種類のカッターが並びますが、いきなり1本ずつ見比べると決められなくなります。先に大きく2つへ分けると考えやすくなります。ひとつは、紙でも段ボールでも一通り切れる「一般的なタイプ」。もうひとつは、切る対象や切り方をしぼって作られた「用途別のタイプ」です。
はじめの1本は一般的なタイプから選び、よく行う作業がはっきりしてきたら用途別のものを足していく。この順番なら、使わない道具を増やさずに済みます。まずは一般的なタイプから見ていきます。
一般的なカッター
一般的なカッターは、刃を送り出す本体と、そこに取り付ける替刃の組み合わせでできています。本体のスライダーで刃を送り出し、切るものの厚みに合わせて必要な長さだけ出して使います。見た目が似ていても、刃の幅、握り心地、刃を固定する仕組みは本体ごとに違います。
本体と替刃の関係
本体の側は、折れ刃式か、刃を丸ごと交換するタイプか、どちらか一方に決まっているわけではありません。幅などの条件が合えば、折れ刃式の刃も、刃を丸ごと交換するタイプの刃も、どちらも取り付けられます。本体を選ぶときは刃の幅と握り心地を、替刃を選ぶときは刃のタイプと幅を、と分けて考えると整理しやすくなります。
刃の幅(9mm幅・18mm幅など)、握ったときの手のなじみ、刃を固定するロックの扱いやすさ
刃のタイプ(折れ刃式か、刃を丸ごと交換するタイプか)と、本体に合う幅・厚み
紙、段ボール、養生シート、薄いプラスチックの板など、家庭で扱うもの全般
替刃のタイプは2つ
替刃そのものには、切れ味が落ちたときの扱い方が違う2つのタイプがあります。刃を折って新しい刃先を出すのが折れ刃式、刃そのものを取り外して入れ替えるのが刃を丸ごと交換するタイプです。
家庭でも現場でも広く使われているのは折れ刃式です。幅ごとに広く使われている規格があるため、替刃も金物店やホームセンターで見つけやすくなっています。
家庭の補修やDIYのように、日によって切るものが変わる使い方では、切れ味が落ちたら先端を折るだけで次の刃先が出せる折れ刃式が扱いやすく、替刃も手に入りやすいタイプです。最初の1本を選ぶときも、替刃は折れ刃式を軸に考えると迷いにくくなります。
用途別のカッター
用途別のカッターは、特定の作業のために形を絞ったものです。一般的なタイプで代わりが利く場面もありますが、その作業が多い方にとっては手間と気の使い方が変わります。よくご相談をいただくものから順に見ていきます。
段ボール用カッター
宅配の箱を開けるための、刃が短いカッターです。段ボールは表面の紙と内側の波形の紙が重なった材料で、繊維によって刃先が鈍りやすいという性質があります。開封の回数が多いご家庭や、店舗のバックヤードで使われています。
宅配の箱の開封、梱包テープの切断、片づけのときの段ボールの解体
刃の出る量が最初から短く抑えられ、刃先に丸みを持たせたものもあります
段ボール、梱包テープ、厚紙など、ある程度の厚みがある紙もの
刃を長く出せないため、箱の中身まで刃が届きにくく、開封のときに気を使う場面が減ります
細工用カッター(デザインナイフ)
ペンのように持って、細かい切り抜きをするためのカッターです。柄が細く、刃先が小さく鋭角になっています。型紙やシール、模型の加工など、線を追う作業で使われます。
型紙やシールの切り抜き、模型やクラフトの細かい加工
ペンのように細い柄で、刃先が小さく鋭い形です。刃は交換して使います
薄い紙、フィルム、シール、曲線や角の切り込み
押し込んで切るのではなく、ペンを走らせるように刃先を進めます。長い直線を一気に切る作業には向きません
そのほかの用途別のタイプ
このほかにも、切り方そのものが違うカッターがあります。名前だけでも知っておくと、作業に困ったときに相談しやすくなります。
中心に針を刺し、半径を決めて円を切ります。紙や薄い板から円形を切り出す作業に使います
円形の刃を転がして切るタイプで、布やフィルム、シートなどを連続して切る作業に向いています。
刃先で溝を彫り、板を曲げて割ります。アクリル板や塩ビ板の切断に使われます
のこぎりのような刃を持ち、発泡材や厚みのある樹脂材を切ります
用途別のものは、必要になってから足せば十分です。作業に合わせた形を一通り揃えているメーカーもあるため、先に本体の規格を決めておくと、後から選び足すときに迷いにくくなります。
刃幅による種類の違い
カッターは、刃の幅によって小型・大型と呼び分けられています。家庭で代表的なのは、9mm幅の小型と18mm幅の大型の2つです。中間の幅や、より大きな幅のものもあります。
本体は刃幅ごとに作られています。9mm用の本体に18mmの刃は入らず、その逆もできません。買い替えのときは、いま使っている替刃の幅を確かめてから本体を選ぶと、手元に残っている刃を無駄にせずに済みます。
刃の厚みや研ぎ方、材質による違いは、別記事「カッターの刃の種類」でご紹介しています。ここでは、幅によって扱いやすい作業や切るものの範囲が変わる、と押さえておけば十分です。
薄いものも切れますし、段ボールのように厚みのあるものでも刃がたわみにくく、余計な力を入れずに済みます。ただし、紙や細かな切り抜きが中心なら9mm幅のほうが扱いやすい場合があります。ふだん切るものがはっきりしている方は、そちらを1本目にしていただいても構いません。
DIYで使うならどの種類を選ぶか
家庭の補修やDIYであれば、まず一般的なタイプの本体を選び、替刃は折れ刃式を軸に考えます。そのうえで大きさを決める手がかりになるのが、切る材料、その厚み、作業量の3つです。紙やシールが中心なら小型、段ボールや養生材まで扱うなら大型、というように、いちばんよく切るものに合わせます。作業量が多いほど、刃を折って新しい刃先を出せる折れ刃式の使い勝手が生きてきます。
握り心地や刃を固定する仕組みまで含めた本体の選び方は、カッターの選び方でくわしく説明しています。用途ごとの候補は用途別のおすすめカッターにまとめています。あわせてご覧ください。
もう1つ確かめていただきたいのが、本体と替刃の組み合わせです。冨木金物商店ではカッターは、本体と刃を同じメーカーで揃えて使うことを推奨しています。同じ18mm幅でも、刃の厚み、折り筋の位置、刃の背にある溝の形はメーカーごとに設計が違い、本体側の送り出しの爪や刃を押さえる金具は、その設計に合わせて作られています。
では別のメーカーの替刃がまったく使えないのかというと、幅が合っていれば入って切れること自体はあります。ただ、爪が溝にうまくかからずに刃を送り出せなくなったり、押さえが利かずに刃が横へブレたりする可能性は高くなります。切れ味の良し悪しという話ではなく、本体が本来の働きをしにくくなる、ということです。
本体を1つ決めた時点で、使える替刃も決まります。買い足すときは、いま使っている本体と同じメーカーの替刃をお選びください。用途別の形まで一通り揃えているメーカーを選んでおくと、作業の幅が広がったときに同じ規格の中から選び足していけます。
カッターの種類と選び分けのまとめ
種類を見比べるときに確認する点は、次の5つに整理できます。
紙・段ボール・樹脂板・布など、何を切るかで一般的なタイプか用途別かが決まります
厚いものほど大型の刃が向きます。薄いものだけなら小型で足ります
切る回数が多いほど、折って新しい刃先を出せる折れ刃式の替刃が扱いやすくなります
本体は刃幅ごとに作られています。手持ちの替刃の幅を確かめてから本体を決めます
冨木金物商店では本体と刃を同じメーカーで揃えることを推奨しています。別のメーカーでも入ることはありますが、刃を送れなくなったりブレたりしやすくなります
カッターは種類が多い道具ですが、まず「一般的なタイプ」と「用途別のタイプ」に分け、一般的なタイプでは、替刃は折れ刃式を軸に考えると、選ぶ範囲がぐっと狭まります。用途別のものは、その作業が増えてきてから足していけば間に合います。実物を握ってみると、刃の出し方や大きさの違いは分かりやすくなりますので、迷われたときは店頭でお声がけください。
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